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会社定年を数年後に控え、両親の住む故郷にUターンを決意。 しかし、田舎の求職状況は惨憺たる状況。さて、そこで考えたのが資格取得。 さて、スムーズに資格は取れるか。またUターン後の開業はどうなるか? 現在進行中のため、作者もその答えは知りません。

清田(きよた)日記 男50歳からの資格取得 第15回 行政書士事務所の開業費用  ~その2~

前回に引き続いて、開業費用を検討していきます。
基本個人事務所である行政書士事務所でも、顧客獲得のためのホームページやブログは必要です。ここで、IT関連スキルが大きく影響してきます。
自分でホームページやブログを作成できる人と、そうでない人の差は大きいものがあります。
ちなみに、ネット情報ではありますが、WEB制作会社にホームページを依頼した場合、初期費用で30万円程度。サイト維持費に月額3万円程度。そしてSEO対策に10万円程度が必要になります。
ちなみに、下記費用は自分でホームページやブログを立ち上げた時の費用です。制作会社との比較でみていただければ、本当にリーズナブルなことがおわかり戴けると思います。
何事も持っている人と持っていない人の差は大きいです。


9.ホームページ・ブログの作成(新規PC購入の場合)  小計16万円程度
  
   ホームページ作成ソフト    約2万5千円
ブログ用テンプレート       約2万5千円
新規PC              10万円程度
  レンタルサーバー        初期費用3,000円(月額1,000円)
  ドメイン使用料          1ドメインにつき年額1,500円


*自分でどうしても作成できない人は、知り合いを頼ってお願いしてみることも有効であると思います。


10.予備費(模範六法、判例六法、実務書、講座受講等)  小計20万円程度
開業費として必要な項目をみてきましたが、事務所用に必要になる備品類はまだ発生する可能性があります。また、実際に業務を受託した際に、業務内容を更に深堀して実務書で勉強することも必要であると思います。
そうした諸々の費用を予備費として計上しておきたいと思います。


■1~10   開業費総合計  115万円

いかがでしょうか。
起業の初期投資としては、かなり小さい額だと思います。
とはいえ、これが生きた投資になるかどうかは、起業する我々の努力次第だと思います。
何としても成功したいといった熱き思いなくしては、上手くいかないと思っていますが、全て自己責任で頑張っていきます。


皆様。
長い間、清田日記を読んでいただき、本当にありがとうございました。
今日現在、私は田舎に帰っておらず横浜に暮らしております。
次回は、私が事務所を立ち上げて、奮闘努力している内容で皆様にお会いしたいと思います。
ということで、少しだけ清田日記をお休みさせて戴きます。
読者の皆様のご健康とご多幸を祈念いたします。
再会を楽しみにしております。
ありがとうございました。


2017年 夏


清田 一人(きよた かずと)
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清田(きよた)日記 男50歳からの資格取得 第14回 行政書士事務所の開業費用  ~その1~

前回の日記で、他ビジネスに比較して資格ビジネスは、初期投資が少ないビジネスであると記しました。
それでは、行政書士事務所を開業するためにどの程度の費用が必要になるかをみていきたいと思います。この費用試算は、皆様のためというよりも私のこれからの人生のためにも非常に大切な内容で、自分のためにもしっかりと試算したいと思います。
なお、調べると自宅で開業されている方も多く、賃貸で事務所を用意される方ばかりではなかったため、事務所費用は試算内容から外します。
ただ、自宅マンションで開業を検討されている場合、マンションの管理規約に抵触して管理組合ともめている事例が存在したことは付け加えておきたいと思います。事務所設立を認めないとの管理規約になっているマンションは多数存在しますので、細心の注意が必要です。


1. 行政書士会への登録料   小計28万円程度
行政書士になるためには、事務所を開設する場所の各都道府県行政書士会に登録する必要があります。調べてみますと、都道府県によって若干金額が違っているようですが、一般的な金額を記します。
     登録手数料   2万5千円程度
     会費       2万円程度(3ヶ月分)
     登録免許税   3万円
    入会金      20万円程度


2. 名刺、開業挨拶状ハガキ  小計3~4万円程度

行政書士会登録が完了する前から多くの行政書士の方々は、事前の営業活動をされています。開業前の名刺と開業後の名刺、どちらも必要です。
そして、特に積極的に営業したい業務を特定特化した名刺もお持ちです。
また、退社した会社のお世話になった関係者や親しい友人等への開業挨拶のハガキも必要です。


3.電話等の通信機器準備     小計12~13万円程度

個人で事務所を運営する場合に大切なことがいくつかあります。
その一つが、事務所の電話番号とFAX番号は別々に持つ必要があります。お客様も事務所電話番号とFAX番号を共用しますと、この事務所は大丈夫なのかと心配になります。
また外出中に事務所電話を携帯に転送できることや、FAX内容を携帯で読むことができることです。そして、外出中に携帯電話を切っていた際に、事務所電話に着信があったことが確認できることも必要です。こうした内容も今はパッケージ化したサービスプランがあります。
FAXも、A3までスキャンできてプリントできる複合機が望ましく、事務所の電話機も子機は絶対必要ですし、必要な時には10分程度前の会話に戻って録音できる機能がついている電話機が良いと思います。
個人的には、携帯電話も事務所用の番号と個人的な番号の2つの電話番号を持とうと思っています。
     携帯電話       5万円程度
     事務所電話機    1万円程度
     電話工事費      1~2万円程度
     FAX複合機      4~5万円程度


4.事務所什器(机、椅子、応接セット、保管庫等)  小計20万円程度

机と椅子は、作業効率やお客様の目を意識して、それなりの物を求めたいと思います。
特に机の天板部分が狭いものは良くないと思います。作業効率を考えても天板の左右寸法が、最低1,400ミリ以上のものを選びたいと思います。PCや資料を置くスペースも考えると1,800ミリ程度あってもよいと考えています。
また椅子は、長時間の資料作成を考えるとそれなりの品質のものが必要です。
また保管庫は、お客様の資料を預かることも多い業務ですので、鍵付きの保管庫が必ず1つは必要で、本棚としての保管庫も別途必要になります。
応接セットは、価格の幅が広い商品ですが、お客様との打ち合わせに支障のないものを選びたいと思います。900ミリ×1,800ミリの会議用テーブルで代用することも、検討に値すると思います。
正直なところ事務所の什器は、費用をかけようと思えばいくらでもかけることができる部分で、コストカットの強い意思を持って予算以内の選定をすることが重要であると思います。
ちなみに私は、オフィス通販で組み立て家具を購入しようと思っています。

  机                    1台
  事務用椅子                1脚
  保管庫(書籍用)             1台
  保管庫(鍵付)              1台
  複合機設置台               1台
  応接セット(来客打ち合わせ4人用)   1セット


5.行政書士事務所表札     小計1万円程度

行政書士事務所を開業したら、事務所の表札を掲示しなくてはなりません。
これは法的義務です。そして、こうした表札製作を専門にしている看板会社があります。
ちなみに、ネットで調べれば、すぐに見つかります。


6.行政書士用書式集      小計6万円程度

行政書士の業務は幅が広く、とても自分で各種業務の書式を作成することは出来ません。
全ての業務に精通して書式をつくることは、不可能といってもよいと思います。
今は、そうした書式もネット上で購入することが可能です。


7.職印・ゴム印等       小計2万円程度

行政書士事務所を開設した際には、職印、ゴム印、銀行印が必要となります。
実印をもっていない方は、別途実印も必要です。印鑑ケースや朱肉、捺印マット等の消耗品もあわせて準備します。


8.事務所用封筒・備品     小計5万円程度

開設時の事務所用封筒としては、A4版が挿入できる角2封筒とA4版が4ツ折で挿入できる長40封筒の2種類があればよいと思います。また、各種許認可申請用紙や封筒、切手等を整理できる10段以上のレターケースや最低限の一般事務用消耗品が必要です。


ここまでで、MAX80万円程度。
これ以外にITリテラシーが大きく影響するホームページやブログの作成があります。PC関連の環境構築も含めて、私の苦手なIT関連費用の試算です。予備費も検討して、次回の清田日記では開業費用合計金額を算出したいと思います。


(つづく)


清田 一人(きよた かずと)
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清田(きよた)日記 男50歳からの資格取得 第13回 ~これからの人生について考える~

資格取得の話から外れるかも知れませんが、自分のこれからの人生について少し記してみたいと思います。
私は、今年(2017年)の11月で還暦をむかえ会社定年となります。
しかしながら、私の勤める会社では、本人にやる気があって健康であれば65歳まで勤めることができます。これは、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」が改正されましたので、同じような状況の会社も多いと思いますし、中には法律改正時に定年制度自体を廃止された会社もあると思います。
当社の場合は、シニア社員として原則それまでの待遇とは違った形で勤務することになるのですが、それまでの役割や責任も大きく変わることが一般的です。私の先輩諸氏も既にシニア社員になって働いておられる方も多いのですが、その姿には考えさせられるものがあります。
もちろん元気で働いておられる方も多いのですが、中には極端にそれまでの元気を失っている方もおられます。理由は、それまで保有していた立場や役割がシニア社員になることによって大きく変わり、その権限が縮小することからくる喪失感が原因です。
正直、この姿に私は考えさせられました。
第1回日記のプロフィールにも書きましたが、もちろん田舎に帰らないといけない気持ちはありました。でもその気持ちを強固にしたのは、シニアで働かれている先輩諸氏の姿だったことも事実です。


皆さんは、何歳まで元気に働けると思いますか。
私は、田舎に帰らないといけないと数年前に思ってから、先輩諸氏や周りの方々を結構真剣に見てきたのですが、「75歳」と定義しています。
国が75歳以上を後期高齢者などと呼ぶこの年齢は、非常に大きな意味を持つように感じています。というのも、何故か私の周りの方々は、その年齢前後で体調が不調になる方が多いのです。それまで健康だった人が、不調を訴えるようになる年齢であると感じています。
そう思うと、60歳からの1年1年は、若い時には想像もできないような貴重な1年であると思うにいたりました。
また現行の法律や一般的な会社制度から考えた場合、65歳になった時には否が応でも、それからの生き方を考えなくてはいけません。私の想定でも65歳から75歳までの10年間は、元気で働ける時間があります。そうしたことを考えると早めに60歳以降の人生の検討をしておいた方がよいと思います。
何が正解か分からないのですが、いろいろ60歳以降の人生を考えていた時にたどり着いた結論は、「自分が納得して決める。そしてできれば、75歳まで働けるようにする。」でした。
そうなのです。私は、自分が元気であると想定できる年齢までは、何らかの形で社会とつながっていたいと考えました。そして、毎日何もすることが無い状態を想像すると不安になりました。
田舎の求職事情を考慮に入れて資格取得を考えたことは既に書いてきた通りですが、75歳まで元気で働きたいとの思いもその結論を導く一つの要因であったことを付記しておきたいと思います。
とはいえ、必ずしも行政書士事務所が成功するとはかぎりません。
目一杯努力したいと思いますが、そうそう上手くお客様からの依頼を獲得できるとも思っていません。


行政書士事務所の設立は、第12回日記にも書いた、私が会社人生で経験してきた新規事業に近いものだと思っています。そう考えると、事業を開始する前にどうしても決めておくべきことがあるといえます。今から書くことは、新規事業を立ち上げる前に決めておくべき重要なことで、この決め事無しに事を進めると、必ずとは言いませんが、後々大変なことになる時もあります。
それは、「引き際、デッドライン」を開始前に決めておくということです。
私の場合、開業資金として考える金額を使い果たした時には、残念ながら「THE END」にしようと思っています。
そうでないと、一つの夢にこだわりすぎて人生が壊れてしまうと思うのです。
ビジネスにはノウハウがあります。しかしながら、「同じことをしているのに、Aさんは成功して、Bさんは失敗した。」といった事例を会社人生の中で数多く見てきました。
成功者がいれば、同数以上の敗者も存在するのが現実です。
悔しく残念なことですが、どうにもならない時は、再起可能なうちに次を考えたいと思います。
自分で言うのもおかしいのですが、ここまで決めておいた方が気持ち的に楽にチャレンジできるのです。


開業資金の話がでましたが、資格ビジネスのメリットの一つとして、初期投資が他ビジネスに比較して、非常に小さくてすむということがあげられます。
行政書士事務所開設にともなう具体的な初期投資については、参考情報として次回日記で。


(つづく)


清田 一人(きよた かずと)
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清田(きよた)日記 男50歳からの資格取得 第12回 ~新たな資格取得を目指して~

2016年7月。
行政書士開業塾の全ての授業が終了した後で、開業後に主として実施したい業務に関して現役の行政書士先生に個別相談にのっていただける機会がありました。
当然ながら私は個別面談の申し込みを行い、相談にのってもらいました。


私の会社人生を振り返るに、他社員と比較しても、多くの新規事業の立ち上げに参加していたことが特長であり、この強みを是非とも第2の人生である行政書士で活かしたいと思っていました。新規事業を立ち上げる場合、市場調査はもちろんのこと、競合調査や自社の強みや弱みを冷静に分析することが重要で、そうした調査・分析に基づく未来予測とともに、特色ある実行性の高い「事業計画」を策定することが重要です。
こうしたスキルを具体的に活かせる行政書士業務として、中小企業事業者の方の新規開業資金獲得の金融機関に対する申請支援業務があります。
現在、中小企業事業者で創業したばかりの方が、無担保・無保証で借りられる公的な開業資金としては、日本政策金融公庫の新創業融資か、一般的に制度融資と言われる信用保証協会が保証して金融機関が融資をする創業融資の2つに絞られます。
こうした融資を受けるために、新規開業者は実行性の高い事業計画書を金融機関に提出しなくてはなりません。
そうした事業計画書の作成業務に、私が会社人生で獲得した新規事業の立ち上げスキルが活かせると考えたわけです。
ということで、新規事業の事業計画書作成業務に基づく新規開業サポート業務を行政書士としての主たる業務にしたいと相談を致しました。


的確なアドバイスを頂戴しました。
「清田さん。この業務を主たる業務にすることを否定するものではありません。
 しかしながら、お客様や融資する金融機関の立場から言えば、もう少しスキルを客観的に評価できる資格も保有していることが必要であると思います。
お客様も含めて、安心感を与える資格と言った方が良いかも知れません。
中小企業診断士資格を保有していれば良いと思いますが、獲得に相当の時間がかかることもありますので、まずは企業再生士補(ATP)の資格を保有してはいかがでしょうか。」
相談した行政書士の先生自体が、金融機関出身者であり、その先生も保有している資格でもあったため、私にとっては説得力を持つアドバイスとなりました。


第二の人生が成功するために必要な準備であるとアドバイスされた以上、資格取得しようと決めました。過去の経験上、決断を躊躇(ちゅうちょ)して実行できたためしはありません。
まして、大切な第二の人生にプラスになるとのアドバイスでしたので、即決でした。


資格について日本事業再生士協会のHPで調べてみますと、企業再生士補というのは、「事業再生に必要な法律、経営、財務、税務、金融等の一般的な知識を持ち、また事業再生実務を行う上での高い職業的倫理観を有しているものに与えられる。」となっていました。
なかなかに立派な資格のようです。がしかし、試験概要を見て困ったことがありました。
資格試験を受けるには、いきなり受験できるわけではなく、認定教育機関で60時間の研修を受ける必要があると掲載されています。「また仕事をしながら、研修に通わないといけないのか、これもやむなしか。」などと少し気持ちがブルーになりました。
と思いながら更に認定教育機関を調べていきますと、TACの通信教育で履修証明書を取得すれば、試験科目である経営、法律、会計・財務の3科目受験が可能になることが分かりました。
このあたり、上手くパッケージ化されているなと、妙に感心してしまいました。
即効TACの通信教育を申し込み、早々に通信教育を終了させれば、2016年11月の資格取得試験を受験できると判断しました。


2016年8月初旬にTACから通信教育教材が届きました。
テキストは、経営、法律、会計・財務の3冊になっており、DVDの動画解説も付いていました。ありがたいことに仕事から帰って机に向う習慣も身についていましたので、各テキストを読み込み、テキスト附属の添削問題に答えて、各科目ごとに通信教育機関に郵送です。
難易度としては、極端に複雑なものではなく、比較的スムーズに履修を終えることができました。
そして無事、2016年11月の企業再生士補の受験資格を獲得することが出来ました。
ただ、この試験の特徴として、過去問題をしっかり理解していないと合格は難しいとの情報を入手しました。こうなると過去問題集が欲しくなるのが人情です。
これまたTACから有料ながら入手しました。
どこまでも良くできたパッケージであると感心しきりでしたが、過去問題集の履修効果もあり、無事3科目同時合格することが出来ました。


企業再生士補(ATP)という資格が手に入りましたが、これもあくまで第二の人生の準備の一環です。
成功が確約されたわけでもありません。
とはいえ、この資格もそれなりに苦労して取得したわけですから、お客様や金融機関の評価に少しは効果を発揮して欲しいものです。


(つづく)


清田 一人(きよた かずと)
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清田(きよた)日記 男50歳からの資格取得 第11回 ~行政書士になるために~

2016年1月末の行政書士試験合格発表当日のことは、たぶん一生忘れないと思います。
自己採点で、合格している自信はあったものの、合格発表当日の午前9時からの一般財団法人行政書士試験研究センターが掲示する合格番号に自分の番号があってはじめて合格です。
Webの発表画面を慎重にチェックしました。
自分の受験番号を発見した時の嬉しさといったら、ここが会社事務所でなければ、大声で「やったー!!!」と叫んでいたことでしょう。
最後の1年間の努力が報われた一瞬でした。
正直、会社から帰宅した後の毎日の勉強は、土日の公開模試受験に比べて単調で、ともすれば無理やり机に向った日も多かっただけに、最後までやり遂げた実感とともに満足感となって、私の身体の中を駆け巡りました。
本当に嬉しかったことを今でも思い出します。


ここまで苦労して取得した資格です。大切に活用しなくてはいけません。
そう思って、行政書士の業務を充分に調べてみたところ、試験に合格するための勉強内容と実際の業務とのあまりの違いに驚いてしまいました。
少なくとも資格を持っているだけでは、お客様の獲得は絶対に出来ないと断言できます。
これまた「どうしよう...。」状態に落ち込んでしまいました。


とはいえ、ここで立ち止まるわけにはいけません。
何としても実務スキルを獲得する必要があります。最初は、各業務の専門書を買ってきて読んで覚えることも考えましたが、第3回の日記にも書いたとおり、行政書士業務は幅が広く、専門書に基づく独学ではあまりに効率が悪いと判断しました。
余談ですが、開業前の行政書士の方が勉強する方法として、昔は専門書を購入して独学するしかなく、100万円も勉強につぎ込まれた方が、ザラにおられたそうです。
(とあるネット情報ですが、真偽の程は定かではありません。)


そこで思い出したのが、公開模試受験に資格取得学校に通っていた時の行政書士開業塾の存在でした。独学が好きな私ですが、ここは学生に戻って、真摯な態度で、教えを乞うことにしました。
ちなみに私が通学受講した開業塾は、辰巳法律研究所とリーダーズ総合研究所が共催している「リーダーズ式 行政書士開業塾」で、2016年3月~7月の毎週日曜日の午後、高田馬場まで通学しました。
目的を一にした幅広い年齢層の皆様と一緒に勉強した5ヶ月間は、費用はかかりましたが、なかなかに刺激的な体験で大変役に立つものでした。
教えてもらった行政書士の基本業務ですが、遺言・相続実務、入管実務、建設業許可実務、宅建業免許実務、法人設立実務、資金調達実務となります。
どの講座も実際の業務に基づく話でしたので、真剣に聴講しました。この受講で学んだ業務に関しては、全体感は持つことが出来ましたが、これで即、開業できるわけではありません。
やはり一つ一つの業務が持つポイントを熟知するための更なる学習は必要です。とはいえ、やみくもに勉強することを考えれば、通学受講は遥かに効率的な方法であると思います。


講義の中には、実務ではないのですが行政書士の経営・営業戦略やマーケティング戦略、更にWebマーケティング戦略までありました。
こうした講義を通して、開業したらどの業務を自分の強みにしていくべきかを考えることとなります。とはいえ、なかなか方向が定まらないのも事実で、今日現在においても悩むことが多々あります。
また講義を通して、成功した行政書士の皆様とお話する機会も多かったのですが、皆様の共通項を自分の勝手な思い込みかも知れませんが、発見しました。それは、専門としている業務の違いはあるものの、成功している先生は、全員「段取りが良い」ということです。
当たり前のことですが、約束の納期は厳守。お客様から依頼された仕事は、トップスピードで段取りよく処理されていました。こうした前向き姿勢の延長線上にお客様の信頼を勝ち取られてきたのだということが、良く理解できました。
行政書士事務所は、基本自分一人だけの個人事務所です。
要領の悪い、無駄な時間の使い方をしている先生が成功することは、まず無いと思い知りました。そうした成功された行政書士の皆様の姿勢に触れることができたことも、実際に通学した大きなメリットでした。


そして、全ての講義を受講した後に個別面談がありました。
この面談は、将来自分が開業したら積極的にやりたいと思っている業務について、相談に乗ってくれるといった内容だったのですが、多くのアドバスや刺激を頂戴する形となりました。
そのあたりは次回に。


(つづく)


清田 一人(きよた かずと)
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清田(きよた)日記 男50歳からの資格取得 第10回 ~資格取得への道 その7~

さて今回は、アウトプット編です。
アウトプットというと難しいように聞こえますが、要はインプット編で吸収した知識を活用して練習問題を解いたり、公開模擬試験を受けたりする「知識に基づく行動」です。
とはいえ、この行動次第で成果が変わってきますので、非常に重要な事柄です。
今回も前回同様に、項目数字とともに活用した内容は具体的な固有名詞で記していきたいと思います。


1. Web「行政書士試験合格道場」の有料会員登録
長い間失礼なことに無料会員として過去問題だけを閲覧していましたが、2014年度試験後の自己採点で不合格と判断してから最初に行動を起したのが、Web「行政書士試験合格道場」の有料会員登録でした。
このサイトの有料会員になったところ、練習問題を含めると3,000問を超える良問や動画解説に触れることが出来ました。
試験までに練習問題を最低3周はやろうと毎日勉強しました。
そして、練習問題の中には200問を超える記述問題があるのですが、毎日の勉強の最後は必ず記述問題の模範解答を30分はノートに書き写す日々を送りました。
別に合格道場の回し者ではありませんが、全ての問題に対して丁寧な解説が付いていることが、独学者にとっては大変助かる次第で、こんなことなら最初から有料会員として登録しておけば良かったと思いました。また動画解説は、長い間誤って覚えていた事柄を正してくれたことも多く、独学者の弱点をカバーしてくれたように思います。


2. 記述補強用問題集の履修
300点満点の60点との配点を持つ記述問題は、行政書士試験の重要な対策項目であることは明白です。人によっては、条文や判例をしっかり勉強すれば書けるという方もおられますが、少なくとも私には無理でした。
Web「行政書士試験合格道場」での記述練習問題も履修しましたが、それだけではどうしても不安で、補強教材を購入しました。
私が購入した教材は、早稲田経営出版「合格革命行政書士40字記述式・多肢選択式問題集」でしたが、この教材の特長は、過去問題を分析し、当年度に出題されるだろうと予想して毎年の問題集を作成している点です。
また初めて説明しますが、行政書士試験には多肢選択式問題という課題が3問出されます。
配点は、1問8点の3問合計24点とこれまた結構な配点で、有名判例に基づき、20の語彙(ごい)選択肢の中から、正しいものを選択して文章を完成させる問題になっています。
1問につき4箇所の穴埋めがあり、20の選択肢から4つの言葉を選んで文章を完成させます。この多肢選択式問題にもこの問題集は威力を発揮してくれました。
また、試験前に読むテキストや問題集を、その都度変える人もいますが、私は、過去2年間の失敗をふまえて、公開模試を含めて毎回この問題集を試験直前に読んでいました。
そうすることによって、ルーティン効果というのでしょうか、気分が落ち着きました。


3. 資格取得学校の行政書士公開模試を徹底受験
過去2年間の反省をふまえて、いろんなパターンの試験問題に触れることが重要であると思ったことは既に記してきた通りですが、その仕上げとして可能な限りの公開模試を受けると決めました。
そして、更に自分にプレッシャーをかけるために、友人に行政書士資格にチャレンジしていることを明かし、模試の結果も見せることにしました。
この決断は、自分を追い込むためにも正解だったと思います。
各校の公開模試は、8月~10月の毎週土・日にあります。各校ともに自校のプライドをかけて予想問題を出題します。そうした意味で、この公開模試受験は効果的で、毎週受けた模試の間違った問題を通勤時間を活用して復習しましたが、実際の本番試験でもよく似た問題が多数出題され、大変助かりました。
ということで、多くの学校の公開模試を徹底して受けるというのも、費用は少々かかりますが、合格のためにかなり有効な手段であると思います。
それと、これだけ試験を受けると、なんと最後には最低30分は時間が余るようになり、本番でも落ち着いて見直し確認が出来るようになりました。
ちなみに私が模試を受けた資格取得学校とは、TAC、LEC東京リーガルマインド、伊藤塾、辰巳法律研究所、U-CANです。各校8月~10月に最低2回の公開模試があります。


4. 一般知識問題の対策を実行
一般知識問題は、第4回の日記にも書きましたように、政治、経済、社会、情報通信、個人情報保護、文章理解の範囲から14問出題があり、そのうち最低6問の正解がないと足切りになります。
出題の幅があまりに広く、どうしていいのか正直わからないのも事実です。


対策としては、個人情報保護は、個人情報保護法や行政個人情報保護法をしっかり理解するとともに、情報通信に関しては、総務省HPにあるIT用語辞典で用語の意味を覚えることは当然に、時事問題がよく出ますので、新聞をしっかり読むことも必要です。
そして最近は、公文書管理法からの出題も多いので、確認しておくとよいと思います。
毎年、結構な人数が足切りになっていますので、前述したWeb「行政書士試験合格道場」の練習問題や公開模擬試験を通して、一般知識問題に慣れておくことも有効であると思います。
また文章理解の正解率は、問題を解けば解くほど向上しますので、得点源にできれば安定感(安心感)が増します。文章問題は、例年の出題傾向や出題数の数(3問出題)も変わりませんので、得意科目にすれば、足切り回避の大きな切り札になります。
ちなみに合格した2015年11月の受験における私の一般知識問題の正解数ですが、14問中12問でした。
これは、過去2年間と比較しても自分としては驚異的な正解率で、最後の1年間にとった行動は、間違っていなかったように感じています。


以上、インプット編、アウトプット編と書いてきましたが、独学で行政書士資格取得を目指す方々に、少しでも参考になれば幸いです。


(つづく)


清田 一人(きよた かずと)
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清田(きよた)日記 ~男50歳からの資格取得 第9回 ~資格取得への道 その6~

今回と次回日記において、私の独学方法を述べていきますが、その方法は大きく分類して2つに分けることができます。
一つは知識等を吸収するインプット。もう一つは吸収した知識等を活用して、問題集を解いたり、公開模試を受験したりするアウトプットです。
合格してみて分かるのですが、この二つをバランスよく行うことが非常に重要だと思います。
そして、その二つの方法を実践する土台が、毎日最低でも2時間は勉強する行為となります。


今回は、インプットに関して、詳細をみていきたいと思います。
(分かりやすく説明するために、ここからは項目数字を使用させて戴くとともに、活用した教材等も参考になることを期待して、全て具体的な固有名詞で表記します。)


1.憲法および法律条文の読み込み
条文等の読み込みには六法が必要ですが、法律の改正も視野に入れると、受験する年の最新の六法を購入することが望ましいと思います。
私は、値段が手頃ということもあり、2015年度版の「有斐閣社のポケット六法」を購入しました。
条文の読み込みは、憲法・行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法・地方自治法・個人情報保護法・行政個人情報保護法・民法と実施しました。
民法は、条文が1000条を超えますが、それでも3周は読み込みました。
憲法や他の法律は、民法ほど条文数がありませんので、たぶん最低でも5周は読み込んでいたと思います。
通勤時間もスマホで、毎日読んでいました。
条文を読み込むうちに、条文に基づく試験問題がいかに多いかが分かってきます。
特に2014年11月に受験した際に、民法の問題のように「見たこともない問題」と感じるようなことが、条文を理解することで極端に少なくなります。
また、テキストを読んでわかったように思っていた知識が、いかに記憶に定着していない知識だったのかを思い知らされます。
テキストは要点を追求するため、知識吸収には効率が良いと思いますが、全体感を持って法律を理解するためには、条文の読み込みが有効であると思います。
なお、試験には国家公務員法などの行政組織法、国家賠償法、情報公開法、会社法、商法なども出題されますので、私は条文の充分な読み込みはしませんでしたが、次回記しますアウトプット編の練習問題などを通して、しっかり履修しておくことが必要です。
ちなみに、あくまで私感ですが、私が条文を充分に読まなかった法律は、試験で、ひっかけ問題の出題が少ない法律であると思っていました。
基本的な練習問題や過去問題を解いていれば、それなりの得点は獲得できると思います。
また、多くの皆さんが嫌がる商法や会社法も、基本的な決まりを把握できれば、同じようなパターンの問題が頻出しますので、他問題に比較して解答時間の短縮につながるため、得意科目にされるとよいと思います。


2.行政書士合格を目指す重要判例集の読み込み
行政書士試験の問題で、重要判例に基づく問題が相当数あることは、既に何度か書いてきましたが、判例ではどんな結論になっているかが特に重要です。
中には、ほとんど同じ状況なのに、原告が個人ではなく病院等の施設が原告の場合は、判決が異なることもあります。
そうした問題に正解を出すためには、判例を読み込んでおくことしか方法がありません。
私はTACという資格学校が出版している判例集を購入して学んだのですが、現在同じものはありませんでした。
判例も毎年増えますので、最新版の判例集がやはりお勧めです。
ちなみに、2017年度版として「TAC行政書士講座から2017年度行政書士判例集」という形で出版されていました。


インプットもアウトプットも最も重要なことは、時間のある限り反復学習をすることかと思います。
1回目の受験は、時間切れで全ての法令に触れることが出来ませんでしたが、2回目の失敗原因は、分かったような気になって、記憶がしっかり定着していなかったことに尽きるといっても過言ではありません。
体系付けて記憶する作業は、非常に手間がかかりますが、継続した努力は決して裏切りはしないと今は断言できます。
一般知識問題に関しては、アウトプット編の最後に詳しく述べたいと思いますので、ご期待下さい。


苦闘のアウトプット編は次回に。


(つづく)


清田 一人(きよた かずと)
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清田(きよた)日記 ~男50歳からの資格取得 第8回資格取得への道 その5~

行政書士資格3回目のチャレンジを決断し、2015年11月の試験を最後にしようと思った理由が、実はもう一つあります。
それは、行政不服審査法が大幅に改正されたことを受けて、2016年の試験では試験問題の内容が相当に変更されることが予想されていました。
行政書士の試験では、毎年の4月1日に施行されている法令をもって試験問題が出題されます。
2015年の試験では、改正前の行政不服審査法からの出題となるのですが、2016年の試験では施行後になるので、大幅に問題内容が変更されるわけです。
これは、最悪の場合の話ですが、旧法と新法を混同してしまう危険性が生じるということで、2回も不合格になっている私としては、何としても避けたいところでした。


最後のチャレンジと思って勉強していた2015年1月末に、驚くこと(自分としては情けないこと)がありました。
そうです。2014年11月に受験した試験結果が発表されました。
想定していた通りの不合格でしたが、なんと補正措置が発動されたのです。
第4回日記で記載した通り、合格基準は法令科目および一般知識科目ともに足切り点が設けられ、それをクリアした上で、300満点のうち180点を取らないといけないのですが、「合格基準については、問題の難易度を評価し、補正的措置を加えることがあります。」との規定に基づき、この年は166点を獲得すれば合格との措置になりました。
それであっても不合格との結果に変更はないものの、180点の合格点に遠くおよばなかったと思って勉強している身としては、なんともやるせない気持ちになったのも事実です。
そうなのです。あと2問正解していれば、補正措置合格していたのです。
とはいえ、不合格は不合格。
自分の実力の無さを恥じるしかありませんでした。
「悔しい限りです。」


「もう本当に徹底的にやるしかない!」
これは今振り返ってもそう断言できるのですが、ある意味人生の中で一番真剣に勉強しました。
私の場合、合格するための知識を自分自身がしっかり身に付けていないことに対する「怒り」が、最大のモチベーションだったように思います。
そうして、最後までやり遂げた時の感動は、自分にとってかけがえのない喜びとなりました。


察しの良い方は既にお気付きかも知れませんが、ありがたいことに私は、3回目のチャレンジである2015年11月の行政書士資格試験に合格しました。
これから記載する過去2年間と大きくやり方を変えた私の独学方法は、あくまで私という人間に適したものであり、決して全ての方にお勧めできるものではないのですが、独学されている方に少しでも参考になればと思い、書き記していきたいと思います。


まず最初に大きく3つのことを決めました。
1. 仕事から帰宅した後も、最低2時間は毎日勉強する。
2. 徹底して法律条文や判例を覚える。
3. 考えられる限りの問題を解く。


通勤時間にテキスト等を読んだりしていましたが、過去の反省から言えることとして、毎日真剣に勉強していない私は、記憶の定着といった部分に弱みがあると認めざるをえませんでした。
この課題を解決するには、毎日の反復学習が最も効果的であると判断しました。
毎日机に向って反復学習を繰り返すことによって、腹落ちしていない事柄を調べる時間ができて、やっと理由が分かって納得できたりしました。そうした行為の積み重ねで、表面的な知識ではなく、定着した知識になったように思います。
一定時間、毎日継続して勉強するといったことも合格のための大切なコンテンツであると考えます。


次に、前回試験の民法問題の反省から、見たこともない、知らない問題を極力なくすためにはどうしたらよいかを考えました。
その答えは、基本中の基本である法律条文や判例を覚えることにあるのではないかと思うに至りました。
どんな問題も突きつめれば、法律の条文や判例から出ており、法律条文や判例に答えがあるわけです。
真剣に条文を読むことで、曖昧だった知識を修正することも出来て、条文を読んで覚える行為は、正解であったと思っています。
2回目の受験の時にも、条文や判例を読んではいましたが、しっかり覚えていない知識は役に立たないとつくづく思い知らされました。


最後に、知っていることでも問い方を変えるだけで難易度が高くなることがあります。
そうです。2014年の試験では、そうした問題が多数ありました。
自己採点しながら、何箇所も自分の勘違いに情けない思いをしました。
この課題の克服には、考えられる全ての問題、いろんなパターンの問題を解くことしかないと考えました。
言い換えると、一つでも多くの問題に触れるということにしました。
また、間違った問題は、何故間違ったのか復習を通して真剣にその理由を考えるようにしてみました。


以上の3つの方針に基づいて、2015年11月の試験を目指したわけですが、その具体的な内容は、次回以降に。
(つづく)


清田 一人(きよた かずと)
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清田(きよた)日記 ~男50歳からの資格取得 第7回資格取得への道 その4~

2014年11月。
2回目の行政書士試験に臨みます。


今回は、憲法も含め、その他試験対象の法律条文や判例も読み込みました。
前回は全ての範囲を履修できていなかった、民法や商法、会社法もテキストの読み込みとともに過去問題もカバーしました。
そして3割弱しか得点できなかった記述問題も過去問題の模範解答を実際にノートに書くとともに、しっかりと読み込んでおりました。
試験会場である日本大学に向う時から、前回とは気合が違います。


「きっと出来る。」「間違いない。」


などと、心の中で叫びながら、前回の経験を活かして自分が試験を受ける教室を軽く見つけ出して、受験番号が貼付されている机に到着しました。
最後に、テキストの中で特に留意すべきポイントを再確認し、机の上に筆記具と消しゴムだけを残して、気持ちを落ち着かせました。
試験前にこれ以上の状態を望むべくもありません。
まさに準備万端であります。


試験が開始されました。
試験途中で、「あれっ???」と声が出そうになりました。


その理由は、民法など見たこともない問題が多く、試験途中で固まってしまいそうになりました。
そうなのです。自信を持って解答できないのです。
情けない話、自分としてはそれなりに努力したつもりの記述問題も民法のあまりの不出来に、あせってしまって完全な勘違いをしてしまいました。
(今から思えば、単なる言い訳にすぎませんが。)
全体に手ごたえが全くない状態で、試験は終了。


茫然自失。放心状態で電車に揺られて帰宅しました。


さすがに当日の夜は、資格取得の専門学校から発表された正解予想との答えあわせをする気力も湧いてこず、早々にベッドに入ったことを思い出します。


翌日、会社から帰って、答えあわせをしてみました。
なんと寂しいことですが、充分な準備が出来ていなかった初回受験の時よりも獲得得点は低い結果になると思いました。
民法の結果など最悪でしたし、負の連鎖といえるのか、会社法でも勘違いが多々ありました。


「絶対に不合格。自分はバカだ。情けない。自分が合格するのは無理かもしれない。」などと、心底落ち込みました。


1週間ほど経ったでしょうか。
自分に対して、だんだん腹が立ってきました。
「不合格のままでいいのか。諦めたら負けが確定するぞ。」


「そうだ諦めなければ、負けではない。」


などと、自分の中で勉強を続けるかどうかで葛藤しました。


仕事は、上手くいかないことがあっても、当然ながら最後までやり遂げることが義務ですが、資格取得勉強は、あくまで自発的な行為であり、こうした状況の時にどういった判断をするかは個人の意思に任されています。
どう決断しようが、誰にも迷惑はかかりませんし、頑張るべきだという決まりもありません。
ただこの時の私は、「自分自身に猛烈に腹を立てていた。」というのが正直なところでした。


結果、あと1年真剣に勉強して、それでも駄目なら資格取得を諦めようと結論付けました。


この結論を出したのは、2014年の12月頃だったと思います。


最後と決めた以上、勉強内容も大きく見直しました
独学で勉強するスタイルに変更はありませんが、やるべき事柄を自分なりに検討し、徹底して履行することにしました。

「自分自身に猛烈に腹を立てた。」と記しましたが、今から思えば、
資格取得の勉強を通して、自分という人間を自分自身で初めて客観的に分析したように思います。
そして、自分の意思に忠実であることが大切なことも、本当の意味でわかる経験でした。


その内容は、次回以降で。


(つづく)


清田 一人(きよた かずと)
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清田(きよた)日記 ~男50歳からの資格取得 第6回資格取得への道 その3~

2013年11月の行政書士試験が終わりました。


3時間ノンストップ試験も3度目となり、免疫が少し出来たのか、なんとか頭真っ白にはならずに試験を終えました。
とはいえ、やはり手ごたえはありませんでした。
ちなみに試験の合格発表は、翌年(2014年)の1月末で、受験生は相当の期間、結果を待つことになります。


他の資格試験も同じかも知れませんが、試験当日の夜から資格取得の専門学校からネットで正解予想が発表されます。
試験問題は持ち帰れますので、当然ながら私も答えあわせをしてみました。
法令および一般常識の選択問題は、手ごたえがなかったわりに意外と出来ていて、6割程度の正解率でした。
合格する方々は、選択問題では7割以上の正解率を示すことが多いそうですので、決して素晴らしい結果ではないのですが、自分としては少し満足感を持ったことを覚えています。


とはいえ、記述問題の正解予想を確認したところ、自分が書いた内容と模範解答予想のあまりの違いに愕然(がくぜん)となったことも思い出します。
記述の配点は、1問20点の計3問60点ですので、合否の大きな鍵となるのですが、どう甘く見積もっても3割程度の得点しか得られていないだろうことは、容易に判断できる状態でした。


翌年の結果を待つまでもなく、次年度の受験に向けて頑張るしかないと気持ちを切り替えました。
この時の自分の気持ちとしては、法令科目に関して、条文や判例の読み込みも不充分だったのに、それなりの結果だったのだから、次年度に向けてやるべきことをやれば、きっと合格すると思っていました。


その後、初めて六法や判例集を購入し、次年度に向けた補修をスタートしました。
自分の弱点である憲法を含めた条文の読み込みと有名判例に限らず、多くの判例に触れる必要がありました。


2回目の行政書士試験に向けて、そうした勉強を続けていた2014年1月末、1回目の行政書士試験の結果が郵送されて来ました。前々回の日記で合格基準は書きましたが、法令および一般常識で足切りにはならなかったものの、合計180点以上の得点が必要なところ166点との結果に終わりました。


ほぼ自己採点通りの結果で、やはり記述は3割程度の得点しか獲得できていませんでした。もっと正確にいうと、記述は3割にも満たなかったのです。(非常に寂しい。)


とはいえ、この時点での私の課題点が明確に見えてきました。(あくまで前向きです。)条文、判例の読み込み。法令科目として民法、会社法。そして、記述問題が課題でした。この時の私は、そうした弱みを強みに変えるべく、1年間頑張ろうと燃えていました。


今から思えば、問題の問い方が変わると難易度が大幅に変わることなど、頭の片隅にも無かったような気がします。
皆さんも経験あるかと思いますが、本当に理解したことは、少々問題の問い方が変わっても充分対応できます。
他の人に教える場合でも、本当によく理解した人が教えてくれる場合と、そうでない人が教える場合では、教えられた人の理解度が大きく違ってくる状況に似ています。
この頃、本当に理解することが非常に大切なことであることを、どこかに忘れた状態だったように思い出されます。
まさに「しのごの言わず、覚えればいいんだ!」との心境でした。


「単に覚えるだけでは、本当の理解といえない。」
そうした道理を今なら冷静に判断できるのですが、この時の私は、弱点となっている課題を「単なる知識」ととらえ、1年かけてしっかり覚えれば、2回目の受験は必ず合格できるとシンプルに思っていました。
そして、その自分が決めたレールに乗って、ある意味自信満々に走り続けたのです。

次回。2回目の受験に突入です。
どうなる清田。
(つづく)

清田(きよた)日記 ~男50歳からの資格取得 第5回資格取得への道 その2~

テキストのあと2回の精読が終わりました。
「精読」と記しているのですが、この時の状況は理解できているといった状態からは、ほど遠いものでした。
暗記が得意だなどと言っておきながら、実に恥ずかしい状態で、自分には丸暗記できるような能力は無いと、つくづく実感しました。
一つ一つの理屈や背景が分かっていないと拒否反応が生じてしまって、理解できないのです。


数ある法令科目の中でも、特に民法に苦しんでいたことを思い出します。
この時、資格取得の専門学校に通うことも考えたのですが、日々の業務もあり、それは難しい状況でした。そしてやはり、性格的にも無理だと思っていました。


ここは行政書士試験の過去問題を掲載しているネットを利用して、徹底的に問題を解いてみようと決めました。前回の日記でも触れましたが、そのネットの過去問題には、解答だけではなく、ありがたいことに上質な解説まで載っています。
この状況打破に、その解説に教えを乞うことにしようというわけです。
確かその年(2013年)の4月頃から、特に土・日を利用して、「掲載された全ての過去問題を最低でも2回は解くぞ!」と苦しみながら問題を解いたことを、懐かしく思い出します。
この過去問題の鍛錬(たんれん)は、この解説を読むために行ったといっても過言ではない状況でしたが、本当に役に立つものでした。
とはいえ、当時は解説を読んでも理解できない箇所が多々あったことを思い出します。


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※過去問題だけでなく、上質な解説まである『行政書士試験! 合格道場


11月にある行政書士の本試験の受験申込は、8月初旬から9月初旬にかけて行うのですが、受験科目の履修も終了しておらず自信は全く無いものの、当然のように申し込みました。
また、資格取得学校の行政書士公開模擬テストなるものが、9月と10月の計2回実施されていましたので、他流試合経験と、本番の雰囲気を味わうためにチャレンジすることにしました。


他流試合1回戦。9月の公開模試のことは、今でもよく覚えています。
公開模試も、本番の試験同様、午後1時から午後4時の3時間試験で行われるのですが、3時間ノンストップで集中する経験など、この頃の私には全く未知の世界で、問題が解けないのは当然としても、試験が終了した時の疲労感は、凄まじいものがありました。
まさに頭は真っ白で、酸欠状態になってしまいました。


公開模試の結果は、当然といえば当然ですが、全く箸にも棒にもかからないものでした。
特に法令では民法。問題形式では判例問題や記述問題は、惨憺(さんたん)たるものでした。


判例問題は、憲法・行政法(行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法)・民法等の、主要な判例を幅広く読み込むことが必要です。記述は3問出るのですが、1問20点と高配点で、的確な法律用語を駆使して論旨を明確に書かないと高得点にむすびつきません。
合格基準を満たすためには、もっともっと勉強しないと無理だなと痛感した公開模試1回戦でした。


季節の移り変わりは早いもので、10月になりました。
10月は、他流試合2回戦があるとともに、本番の行政書士試験も翌月に迫ってきていました。
この頃の私の精神状態は、不思議と落ち着いていました。
そうなのです。
公開模試の結果もあり、11月の試験まで出来る限りの勉強をして、仮に落ちても来年を目指しての経験と割り切っていました。
悲壮さは無いものの、この当時は、書店で問題集も購入し、仕事から帰って平日の夜も机に向かっていたことを覚えています。
そうした姿を見た女房から、「はじめて見る姿」と声をかけられたことに、もしかしたら気分を良くしていただけかもしれませんが、心は不思議と平穏なものでした。
しかしながら、他流試合2回戦の結果も、1回戦よりは良くなったものの合格には程遠いものでした。
問題を解いても、自信を持って解答することもできず、なんとも頼りない状態でした。
今から思えば、勉強の絶対量が不足していました。


2013年11月国家資格行政書士試験当日。
「一定のレベルを超えないと緊張もしないものだな。」と思いながら試験会場に向かいました。
オリンピックなどで、選手が「緊張しました。」とのコメントを発していますが、それは、手ごたえを感じる、ある一定のレベルに達した人が言える言葉なのだと、つくづく思いました。
とはいえ私の辞書に、参加しないといった選択肢は、過去にも現在にもありません。
「何が起こるかわからない。最後まであがこう!」と試験会場である飯田橋の日本大学法学部キャンパスに向かいました。


結果は、次回日記で。
(つづく)


清田 一人(きよた かずと)
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清田(きよた)日記 ~男50歳からの資格取得 第4回資格取得への道 その1~


「行政書士資格を取得する。」


55歳(2013年2月)の私の方向性は定まった。


まずは、行政書士試験の概要を調べてみた。
・試験日は、原則毎年11月の第二日曜日の午後1時~4時の3時間。
・試験科目と内容は、行政書士の業務に必要な法令等から46題と一般知識から14題の計60題。
 法令等とは、憲法、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法、民法、商法、会社法および基礎法学のことであり、一般知識とは、政治、経済、社会、情報通信、個人情報保護、文章理解のことであった。
・配点内容は、法令等で244点。一般知識で56点の合計300点であった。


初めて試験概要を見た時に驚いたのは、合格基準だった。
1. 行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、122点以上である者。
2. 行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、24点以上である者。
3. 試験全体の得点が、180点以上である者。
上記の1~3の要件を全て満たすことが必要であった。


そうなのです。科目毎に足切り点が設けられていたのです。
これには少々ビビリましたが、決めたことはやるしかありません。


私にはありがたいことに日々の仕事があり、自由な時間は毎日の通勤時間と土・日だけです。
(帰宅後の勉強までは、当時の私の頭には全く思い浮かびませんでした。)
独学で勉強をし、11月までには約9ヶ月もあるのだから、その年(2013年)の受験を目指そうと決めました。
正直なところ、私は先生に教えてもらうことが苦手で、そういった意味でも独学は望むところでした。この選択が後々大変なことになることも知らずにです。


早速、某有名資格取得専門学校の行政書士合格テキストを購入。
まずは1回読んでみようと本を開きました。
すぐに気がつきました。
「この行為は、かなり無謀な行為だ」 と。
自分は暗記が得意だから何とかなるさとの密かな自信は木っ端微塵(こっぱみじん)です。


そうなのです。第3回日記にも書きましたが、私は法学部の出身ではありません。
難しい法律用語は、全く理解不能です。
特に読むのに苦労したのは、法律条文と判例でした。
読書は好きでも、条文や判例等のお堅い文章は、全く異次元の文章であり、そうした表現にまず慣れることが必要でした。
どうしてもテキストの内容が腹落ちしないこの時期、何度も「もうやめようか。」と思いました。
でも元来能天気な私は、資格取得した後の満足感に浸っている自分の姿を想像し、それを励みに、せめて1回は最後まで読み終えようともがいていました。


なんとかヨレヨレになりながらも1回は、テキストを読み終えました。
とはいえ、テキスト内容が理解できている状態からはほど遠く、掲載されていた練習問題にも全く歯がたちません。
完全に自信喪失状態でした。


そんな時、ネットで行政書士合格者の合格体験記なるものを読みました。
なんと、みなさん年間1,000時間程度の勉強をなさっておられました。
まさに頭の下がる体験記ばかりで、私もやらねばとの気持ちになりました。
またそのホームページでは、20年以上の過去の行政書士試験問題が閲覧できて、上質な解説まで掲載されていました。
ちなみに練習問題や動画講義を見るためには有料会員になる必要があるのですが、過去の試験問題は無料閲覧できる太っ腹なホームページでした。
とは言え、すぐに過去問題を解ける実力も全くありません。
私は、あと2回はテキストを精読し、その後このホームページを活用させて戴くことを決めました。


「パターン認識は得意だ。徹底して過去問題を解けば、きっといける!」


どこまでも能天気な私でした。

この頃のわたしは、
この道が長く曲がりくねっていることなど、知る由(よし)もありませんでした。
(つづく)


清田 一人(きよた かずと)
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清田(きよた)日記 ~ 男50歳からの資格取得第3回 どんな資格を選ぶ?~

資格選びの最大のポイントは、「成功した暁には、田舎生活を維持できる資格取得を目指す。」
ということにした。
もっと分かりやすく言うと、単に業務遂行の為に必要な資格で、その資格だけで生計を立てる事務所を設立するのが難しい資格は排除することにした。


余談だが、こうした検討をしていた当時、日頃は気にもとめていなかった資格系の個人事務所を熱心に探してみたところ、結構な数の事務所があることに驚いた。
これは、その資格で生活できているということでもあるし、取得資格毎(ごと)に、多くの競合が存在するということである。
どんな業界であっても生存競争は、常に激しく厳しい。


資格選びの話に戻ろう。
これも私にとっては大切なポイントなのだが、文系の私でも努力すれば何とか取得できる資格であること。要は、超難関、理系型資格は避けるということだ。
自慢じゃないが、化学式に基づくモル計算と聞いただけで、今でも固まってしまう。


そうした基準で候補に選んだ資格は、
・司法書士 ・行政書士 ・社会保険労務士 ・中小企業診断士 となった。


ここからは更なる絞込みとなるが、最初に候補から外れたのは司法書士であった。
これには理由があって、私は法学部出身者でもなく、行政書士でも私にとっては資格取得が難しいだろうに、更に資格難易度が高い司法書士は、何をかいわんやである。


残った3つの資格のどれにするかについては、結構迷った。


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ただ中小企業診断士の事務所看板を私は見たことがなかったので、実際の資格保有者に実体を聞いてみた。
やはり中小企業診断士の成功者は、企業コンサルタントの方が多いようであった。
また、行政書士か社会保険労務士のどちらかを取得した後で、ダブル資格を狙うのであれば、中小企業診断士がお勧めとの話があった。
これは、行政書士にしても社会保険労務士にしても業務を進める中で、関係する法律が改定されることも多いらしく、そうした法律をしっかりと追っかけていかないと顧客に信頼を得られない。法律系資格を2つ取得して、常に関係する法律知識を最新の状態に保つことは結構大変なことであり、それよりも中小企業診断士を取得した方が顧客企業の事業相談にものってあげることが出来て、ダブル資格の相性(あいしょう)が良いとの話だった。
信頼できる方の話でもあり、私はこの話を信じた。


ということで、まずは法律系資格を取得しようと決めて、残った資格は行政書士か社会保険労務士となった。
顧客特性を調べてみると、行政書士の業務は、継続顧客が全く無いということではないが、都度顧客が変わることが多いようで、許認可申請の業務だけをとらえても申請種類が多い。
また成功している行政書士は、幅広く業務を行うというよりも自分なりの得意業務を会得(えとく)して、その業務の顧客を獲得するように仕事を進めているようだ。
顧客が都度変わることが多く、業務の種類が多いというのが、行政書士の特徴だった。


対して社会保険労務士は、顧客を階段状に増やしていけるようで、継続顧客業務のようである。上手く顧客が獲得できると業務も特化されているので、安定収入につながる。


顧客獲得が上手く運べば、圧倒的に社会保険労務士が魅力的に思えた。
何より「継続顧客と安定収入」とのフレーズが心地(ここち)よい。


ここで私は田舎をイメージしてみた。
「本当に顧客開拓できるだろうか?」
気になるのは、社会保険労務士の特化した業務で顧客開拓できるのかといった部分であった。
新規参入の社会保険労務士事務所に、数多くの顧客企業が重要な業務を任せてくれるのだろうかといった心配である。
当然、既存の社会保険労務士事務所が存在しており、市場が出来上がっている状況で、切り替えも含めて顧客を開拓していかなければならない。


地方都市企業は、既存業者に良い意味で義理堅く、新規参入業者には排他的。
まさに市場のオモテとウラ。参入障壁は高い。
そして、新規創業する企業数も大都市と比較すると極端に少ない。


そうしたことをいろいろ考えて、行政書士資格取得を目指すことにした。


業務の幅が広いことが、最悪の時のリスクヘッジになると考えた。
とはいえ、今でも都会で業務をするのなら社会保険労務士を目指したと思うし、田舎に帰って、予測と大きく現実が乖離していれば、先々社労士にチャレンジしているかも知れない。


いかにも優柔不断。そして臨機応変である。


この時、55歳の2013年2月。


ここからが長い道のりになることを、わたくし清田は、まだ知らない。
(つづく)


清田 一人(きよた かずと)
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清田(きよた)日記 ~ 男50歳からの資格取得<第2回>どうしよう~

田舎の求職事情は、地元の友人から聞いたものの、定年後Uターンするにしても

「どうやって暮らしていけばいいのだろう???」

当時55歳であった私は、まだすぐにUターンするわけではないものの、初めて自分の将来に漠然とした不安を抱いた。

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『世界の中心で愛を叫ぶ!』のロケ地であった、我が故郷。しかし、仕事は無い。

地方都市の性(さが)なのか、安定しているところといえば行政機関ぐらいで、それとて働く場合は年齢制限がある。民間企業も求人に余裕のある話は無い。
「大企業に勤めてました。」と言っても、60歳を超えた人間を、喜んで雇ってくれるところなどないだろう。
60歳で田舎にUターンするとしても、65歳までは厚生年金も満足した状態にはならない。
「いっそ、65歳までは都会で暮らそうか。」とも考えたが、田んぼが気になった。
少なくとも親父が元気なうちに帰らないと、分からないことを聞くことも出来ない。


ある意味初めて自分の市場価値を考えた。
その結果、都会では少しは評価されるキャリアかも知れないが、田舎では殆ど(ほとんど)価値が無いことに気付かされた。
そして、自分のことを完全に棚にあげて、地方都市の持つ構造的な問題が、ここにあるようにまでに思った。

私が大学を目指していた高校時代。
香川県に四年制の大学は、国立大学が一校と、私立校が一校しかなかった。
全員が地元の大学に入れるわけもなく、多くの学生が、関東、関西の大学に進学するのが一般的で、大学を卒業した全ての学生が、地元香川県で就職することなどありえなかった。
肌感覚ではあるが、県外に出た学生の地元就職は、よくて半数程度ではなかろうか。
ちなみにこの傾向は、今も続いている。
多くの地元学生が魅力的な都会の会社に就職する状態が毎年続くことによって、活力ある地元民間企業が少ないことにつながっているような気がした。
地方における「少ない教育機関と元気な企業が少ないこと」は、相関関係有りとの理論である。

完全に話がそれてしまった。失礼しました。
私にそうした状況を改善する力は、全く無い。まさに非力である。

いま考えないといけないのは、「田舎において私の市場価値が無い。」ということだ。
結構長い間、自分に問いかける日々が続いた。
田んぼしながら貯蓄を切り崩して65歳までしのぐことも頭に浮かんだが、苦手な農作業だけでは自分がもたないと思って、専業農家は却下した。
商売を始めるにしても、心から燃える動機が無いと結果は火を見るよりも明らかと、
これまた却下。

本当に困った。自分の市場価値を証明するものが、全く無い。

「みんなが納得して評価できる価値。価値。」と考え続けている時にひらめいた発想は、「普通自動車の運転免許証」だった。
運転免許があれば、田舎でも運転は出来る。まさに客観評価の極み(きわみ)である。
そうした誰でも納得できる資格があれば、田舎でも活用できると思った。
私は、資格ビジネスを真剣に考えてみることにした。
ある意味、もうそれしか残っていないような気がしたし、とても短絡的な動機だが、直感的に「いける」と思った。

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とは言え、
「どんな資格であれば食べていけるのだろう?」
「本当に資格で食べていけるのだろうか?」
まずは多くの情報を入手することから検討を始めた。

こうしておぼろげながら、自分の方向性が見えてきた。
次回は、「どんな資格を選ぶか?」を振り返ってみたい。


清田 一人(きよた かずと)
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清田(きよた)日記 ~ 男50歳からの資格取得<第1回>プロフィール~

皆様はじめまして、清田 一人(きよた かずと)です。

それなりの上場会社に働きはじめて37年。今年、めでたく(?)定年をむかえます。

私は四国香川県の出身で、高校までは地元で過ごしたのですが、関西の大学を卒業した際、田舎には帰らず、そのまま大阪の企業に就職しました。その後転勤もあり、今は東京で働いています。

私が生まれた場所は、かなりの田舎で、父・母は兼業農家として頑張って私を関西の大学に行かせてくれました。
私を生んだ後、母が身体をこわしたこともあり、私には兄弟がおりません。
当然、両親は私が大学を卒業したら、田舎に帰って就職してくれるものと思っておりましたが、いろいろございまして、私としては無事(?)都会の会社に就職することが出来たのです。とはいえ、「定年したら田舎に帰るから。」と両親と約束していたのも事実ですが、就職してから30年以上、約束の存在さえ忘れきっていたというのが実情です。

会社人生を振り返っても、人並みに苦しいこともありましたが、職場の環境や
まわりの上司・同僚・部下にも恵まれ、楽しかったことの方が多かったと思います。
また、お盆や正月には田舎に帰省するのですが、やはり都会での生活の方が自分にはしっくりくるものでした。

そうした私ですが、正月に帰省していた時の元日の夜、お袋が脳梗塞で倒れ、救急車で病院に担ぎ込まれました。元日ということもあり、幸いまわりに家族がいたことで、早い処置ができたこともあって大事にはいたりませんでした。
しかしながら、お袋は入院。
父は、全ての家事をお袋まかせで、米を炊くことも出来ません。

この状況が長引くことは、父の日常生活の破綻を意味します。
そうしたこともあり、父の家事特訓を私の妻と一緒に行いましたが、なかなか上手くいきませんでした。
お袋が入院して、なれない家事を特訓する、不機嫌なような、気持ちが萎えているような親父の姿。

この時の私の年齢は、55歳。
情けない話ですが、はじめて田舎にUターンする必要性を感じました。
とはいえ定年まで相当の期間が残っているわけで、まだまだ切実なものではありませんでした。

その正月3日。

地元の友人に、60歳以降の地元の求職事情を聞いてみたところ、都会との違いに驚いてしまいました。
都会は正直なところ、職種や賃金、勤務形態さえ高望みしなければ、60歳を超えても健康であれば何らかの仕事があります。
がしかし、四国の田舎は、そうした状況にないことがはっきりと理解できました。
はじめて60歳以降の生活に漠然と不安を感じました。
まして、我が家には田んぼがあり、米を作っています。
中学生くらいまでは手伝っていましたが、その後親父にまかせっきりで、
米作りは恐怖以外の何物でもありません。


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「どうしよう...。」


この、『清田(きよた)日記 ~ 男50歳からの資格取得』が、田舎にUターンされる方や第2の人生を考える方に少しでも役立てば幸いと勝手に思い込んで書き記していきたいと思います。

でも、私は現在まだ59歳。
この先成功するか大変なことになっているか、まだ分からないのです。

とはいえ、第2の人生の準備をして、少しだけ気持ちが落ち着きました。
そうした選択肢の一つとして、気軽にお読みいただけば幸いです。


清田 一人(きよた かずと)
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