男50歳からの古代史構想学(9) 神話は事実から生まれる
古代史構想学の第九回目は葛城踏査レポートの二回目になります。
こんにちは、古代史勉強家の大和健です。
葛城の鴨三社を見た後に向かったのが、高天彦神社(たかまひこじんじゃ)です。
高鴨神社を出て葛城山麓バイパスを少しだけ走ったあと、さらに急な坂を金剛山の中腹まで登ります。
途中、徒歩による参道が車道から分岐していました。歩いて参拝する人もいるのでしょうか。
車で登りきったところに神社があります。
駐車場から本殿までの参道は並木道になっていて何ともいえない有難い雰囲気に満ちています。
上の写真にある参道を登ってくると、この並木道につながっています。
社務所がなく、今は高鴨神社によって管理されているらしいのですが、境内は綺麗に整備されていました。
この神社の祭神は高皇産霊神(たかみむすびのかみ)であり、天地の初めに天上世界の高天原(たかまがはら)に現れた神様のひとりです。
社名の高天彦は高皇産霊神の別名とも言われています。
金剛山の中腹、奈良盆地を見下ろす場所に鎮座し、近くには高天原跡地と伝えられるところもあって、いかにもそれらしい雰囲気。
記紀神話をもとに作り出されたテーマパークとも言えそうですが、単純にそうとも言い切れない。
その昔、天孫族からつながる有力者がこの葛城一帯を支配した事実があるからこそ生まれた神話であり、この神社なのだろうと思うのです。
いま風に言えばパワースポットということになるのでしょうが、そんな安っぽい言葉では語れない雰囲気が漂ういいところです。ぜひ訪ねてみてください。
このあとは葛城一言主神社。
祭神は一言主大神で、地元では「いちごんさん」と呼んで親しまれています。
一言主大神は第21代雄略天皇が葛城山で狩をした時に天皇と同じ姿をして現れたといいます。
前回に紹介した「事代主神(ことしろぬしのかみ)」は「言代主神」とも言われています。
古代には「事」と「言」の区別がなかったためです。
「言代主神」と「一言主神」、よく似ていると思いませんか。
そうなんです、この二人の神様は同一神と言われているのです。
事代主神は鴨族の祖先神で、その鴨族(鴨氏)の有力者が枝分かれして葛城氏になった。
鴨氏は鴨都波神社に祖先神を祀り、葛城氏はこの一言主神社に祖先神を祀っている。
私はそんなふうに考えています。
葛城氏の祖先神である一言主神が天皇と同じ姿で共に狩をするという話は、葛城氏が天皇と同じくらいの勢力を誇っていたという事実を反映していると言われています。
第三回で紹介した宮崎ツアーの話で仲間のひとりである清田さんが言った「高千穂は神話のテーマパーク」というのがずっと心に引っかかっていたのですが、全てを神話の後にできたテーマパークで片付けるのはやはり違うな、ということを改めて感じました。
何らかの事実があるからこそ後世に伝えられて伝承となり、神話になる。
とすれば、その事実があった場所もまた実際に存在する。
葛城では鴨三社、高天彦神社、葛城一言主神社の5つの神社以外に孝昭天皇陵、孝安天皇陵、葛城襲津彦の墓と言われる室宮山古墳を訪ねましたが、また別の機会に紹介することにします。
大和 健(やまとたける)
ブログ:古代日本国成立の物語
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