平成のお伊勢参り
豊島新聞リレーエッセイ
「平成のお伊勢参り」
栗生明(建築家・千葉大学名誉教授 伊勢神宮の建築を見る講座担当)
平成25年10月に、伊勢神宮で第62回目の「遷御」が行われました。
伊勢神宮では今回、江戸時代の「お蔭参り」ブーム以来の賑わいで、参拝者は年間1200万人を数えました。
これは、日本人の10人にひとりは、伊勢に詣でた計算になります。
今回の遷宮記念として、私が設計し、平成24年4月にオープンした「せんぐう館」も、すでに100万人の入館者を越え、現在、展示面積あたりの観覧者数では日本有数のミュージアムとなっています。
外宮の勾玉池の畔に建つ、この「せんぐう館」の完成により、外宮参拝者が劇的に増加し、同時に寂れていた外宮参道に活気が蘇ったと報道されています。
ここ数年で外宮参道沿いは新規店舗建設、あるいは店舗改修が20店舗以上あったようです。
前回の遷宮時に、内宮参道にオープンした「お蔭横丁」の人気で、多くの参拝者は内宮のみの参拝ですませる傾向が顕著でした。
しかし、神宮参拝は外宮から始め、内宮に巡り両宮を参拝することが正式とされていますので、今回は本来の形に戻ったとも言えます。
「常に若々しくある」という神宮の思想、「常若」(とこわか)にあやかるためにも、ぜひ「平成のお伊勢参り」に行かれることをお勧めします。
(2014年02月19日)