読書会の街、池袋
講演会ドットコムの若い友人たちと月1回、読書会をやっている。若いと言っても、もう十年以上続いているので、彼らも中年のおじさん、おばさんである。いささか先細りの感は否めないが、それでも毎月、一般の来場者を含めて十二、三人が集まる。
前回、第一一三回「著者が語る『いつの日も泉は湧いている』」は、いつになく盛況で二十七人の来場者があった。盛田隆二さんをお招きして、自著について語ってもらった。高校生の学園闘争を扱った小説である。特定機密保護法が成立したり、憲法の改正がとりざたされる時代に、なぜそうしたテーマで書いたのか。そのことが議論の中心になった。二次会、三次会と流れ、終電間際まで盛り上がった。
多くの作家の方がたに、ボランティアで講師を務めていただいている。会場は雑司が谷地域文化創造館である。第一回からずっと変わらない。「こうした手作りの読書会が今の文学を支えているんだ」とは、何度も直木賞の候補になった小嵐九八郎さんの言葉だ。講師を務めていただいた先生方は皆同じように、「いつまでも続けてほしい」と言ってくださる。うれしい限りである。
私たちのような読書会があちこちに生まれ、文学がもっと活況をていするようになればいいと思う。その中に私たちの読書会が埋もれてしまう、そうした状況が現出したならば最高だなと思う。
吉田和明(文芸評論家・淑徳大学公開講座「文章講座」担当)
(2013年12月20日)