豊島新聞リレーエッセイ「詩　二題」　神尾和由｜淑徳大学エクステンションセンター～池袋を拠点とした講座の情報発信～

豊島新聞リレーエッセイ「詩　二題」　神尾和由

明日晴れたらあの牧場へ

明日晴れたら　君と行こう
風が吹く　あの牧場へ

タルコフスキーの映画を真似て
風が牧場を渡り
草原は波打つだろう。

風は太古からのリズムで
僕らの髪や頬を撫でる。
僕らの目は細くなる。

明日晴れたら　君と行こう
あの牧場へ

サン・ロレンツォの夜

　　　　　　　　　　　　　　　　　　
星空が見たいのなら
夜は暗い田舎がよい。

願いごとがあるのなら
サン・ロレンツォの流れ星がよい。

願いごとは欲張らず
小さく短くするがよい。

願いが叶うか叶わぬか
誰かに訊いたこともない。

自ら試したこともないが
〈サン・ロレンツォの夜〉なら
二度見たことがある。

美しいトスカーナの風景が
素朴な人々が映し出される
タヴィアーニのあの映画なら。

神尾和由
（画家、国画会会員・淑徳大学公開講座「パステル画を描く」担当）

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（2013年03月11日）