豊島新聞リレーエッセイ 「鎌倉彫について思う事」 原水玻瑠和
鎌倉彫について思う事
鎌倉彫は七00年以上以前から仏師が始めた仏具が始まりとされています。
だんだんに茶道具や盆とか生活用具も作るようになり、職人だけでなく一般の素人も初めはお座敷稽古からそのあとカルチャーブームになって彫られる方も多くなっていきました。
最近は木地に使う桂の木の大きいものが少なくなり、日本産の漆の木も漆かきの職人も少なくなり環境がだいぶ変化してきていますが、北海道では桂の植林、浄法寺や茨城では漆の植林も始まっているようですので、何年かのちには日本産漆も多く採れるようになると思います。
漆は堅牢な塗料ですし自分で彫ったものは愛着も一入ですから、皆様にもぜひ鎌倉彫に興味を持っていただきたいと思います。
ふと入った古本屋で法隆寺を再建された西岡常一さんの「木のいのち木のこころ」(新潮文庫)を見つけ読みました。
宮大工の匠が刃物とぎの大事さを語っておられるのを読み、二0年前は彫るのよりも好きで無心に彫刻刀を研いでいたのを思い出しました。
この頃は切れればいいやとの考えになっていたのを反省して、また研ぎを一生懸命やって少しでも自分が納得できる作品を彫りたいと思いました。
またそんな時先輩の展覧会を見る機会がありました。私が初めて指導していただいた先生と同期の方で現役で指導しておられます。
配布された図案は全部自分で彫っていらっしゃり彫ったものは全部塗りに出して完成させておいででした。
宮大工の匠に研ぎの大切さを再認識させられ、彫りでは先輩の姿勢に感銘を受け、この頃の自分のことを顧みて反省させられた一週間でした。
原水 玻瑠和
(鎌倉彫後藤会・淑徳大学公開講座「鎌倉彫後藤会講座」担当)
→ 講師関連講座(2013年度春夏期)
「鎌倉彫後藤会Ⅰ」
2013年4月6日(土)より開講
「鎌倉彫後藤会Ⅱ」
2013年7月6日(土)より開講
(2013年02月26日)