「幕末三舟の墓所めぐり」 阿部一好
勝海舟、高橋泥舟、山岡鉄舟を総称して「幕末三舟」と呼んでいます。
「幕末三舟」は、江戸城無血開城での功績で知られています。勝海舟は幕末から明治にかけて活躍し、いわば歴史の表舞台の人だと言えます。それに対して山岡鉄舟と高橋泥舟は「陰の功労者」です。山岡鉄舟は、慶應四年に江戸城無血開城へ向けた交渉のため、駿府(静岡)へ出かけて西郷隆盛と会談しました。その成果を踏まえて、江戸において勝海舟と西郷隆盛との会談が行われたのです。歴史上は後者の会談が知られており、山岡鉄舟の功績はあまり知られていないようです。高橋泥舟は書家としての評価が高く、独特の書体には根強い愛好家がいます。
「幕末三舟」の墓所をめぐるバスツアーが、四月二日、池袋駅に近い淑徳大学公開講座のフィールドワークとして行われました。二十名ほどご参加いただきました。
当日は好天に恵まれ、また桜も咲き始めたころで、散策するにはとても快適な日でした。大田区の洗足池畔にある勝海舟の墓、台東区谷中の全生庵にある山岡鉄舟の墓、同じく大雄寺にある高橋泥舟の墓を訪れました。途中、東京駅近くの幕末から続くという「嶋村」で昼食をとりました。
一日で「幕末三舟」の墓所を巡り、彼らの存在を身近に感じてもらう機会としてご参加のみなさんにとって大変有意義なものだったと思います。
阿部一好(山岡鉄舟研究家・淑徳大学公開講座「山岡鉄舟の世界」世話人)
(2011年09月05日)