エッセイを書く 吉田 緑
「エッセイを書く」の講座に参加してから四年以上が過ぎた。作品集が三冊になった。欠席の多い私を、メンバーとして置いてもらっていた、先生や仲間の皆さんに感謝するばかりだ。
何事も最初は不安なものだが、エッセイなど文章講座は、特に緊張する。いくら自由と言われても、どこまでが許される範囲なのかわからない。自分史、紀行文、昔の思い出、恋愛、気になったことや感じた思いなどを、人間が文章で表現するのだから、何を書いてもその人らしさだとわかりあえるならいいのだが、文章を書く人の中には、厳しい人がいる。私は、かつて痛烈に批判され「文章じゃない」とまで言われたことがある。古くからの同人誌で、「お行儀が悪い文章です」と言われた時は、二度と書かないと思った。
ひどく傷ついた経験をもつ私は、この講座に参加した時はドキドキだったが、気持ちがほぐれるまで時間がかからなかったように思うのは、皆さんが優しかったからだと思う。 今年の始め、講座のまとめ役となり、紳士で博学、独特のユーモアがあった気多さんが、他界されたと聞いた。悲しかった。もっと作品を読みたかった。話を聞きたかった。感謝したかったが間に合わなかった。「また次回の講座で会いましょう」と言ってくださった声が忘れられない。
(2011年07月19日)