「成人の日は撮影日」 永島浩二
成人の日は平成十二年から祝日改正法で一月第二週月曜日が成人の日と変わって久しい。
写真講義用の作品例として成人の日を豊島区の東京芸術劇場前で成人になった若者をカメラに収めている。例年艶やかな和服の女性達が小鳩のように集まり美の饗宴を演じている。
十年前頃は振り袖に袴姿の女性が多く宝塚の卒業生イメージカラーで溢れていた。娘の晴れ姿を父親はフィルムカメラで撮影していた。母親や仲間同士は当時流行のレンズ付フィルムで撮影していた。私は一眼レフカメラでポジフィルム使用して撮影していた。
印象深い成人の日は平成十年一月十五日で,この日は東京には珍しい大雪となり、晴れ着姿の女性は傘を差しハンドバックと紙バックを持ち、足元はスニーカー姿であった。雪降る白銀バックの中の和服姿は日本文化そのもの美しさであった。
今年の成人の日は寒いが快晴に恵まれ、鮮やかできらびやかな赤、淡いピンク、スカイブルーの振り袖で袴を着けた人は見掛けられない。男性は紺、黒の背広が多い。一部に和服で白、黒の紋付
き金銀の袴を着込んだ若者もいたが、十年前と比べ成人が少ない小子化を現実として見たのである。
晴れ姿を母親、友達同士が携帯電話付きカメラ、コンパクトデジタルで撮り合っている。父親の撮影風景は無い。
当方のカメラもデジタルに変わった。今やアナログ時代からデデジタル時代に移行した今を感じる。
永島浩二(写真家・淑徳大学公開講座「写真」担当)
(2011年02月03日)