「人々を魅了し続けたショコラ」 小澤千恵
チョコレートの歴史は古く、約四000年。原料であるカカオの原産地は中南米で、学名「テオブロマ・カカオ」とは「神様の食べ物」という意味で、マヤ、アステカ文明では、カカオは神様への捧げものとして大切にされてきた。当時のチョコレートは飲み物で、カカオ豆を炒ってすりつぶして水に溶かし、とうもろこしの粉や香辛料で香りをつけた苦いものだったという。
十六世紀、スペインがメキシコを征服したことでスペインに持ち帰られ、スパイスの代わりに砂糖を入れた甘い飲みもの「ショコラショー(ホットチョコレート)」に変化する。その後ヨーロッパ全土に広がったショコラ。十八世紀には貴族たちの間ではステータスとなり、貴賓をもてなす際の大切な飲みものであり、舞踏会では踊りながら飲んでもこぼれないよう、カップを固定させる枠をソーサーに付けた、磁器のチョコレートカップがドレスデンなどで作られたほど。
最近では、ショコラショーを自宅で簡単に楽しめるような飲み物用のチョコレートを日本でも見かけるようになってきた。ショコラの長い歴史に思いをはせて、今年のバレンタインデーは、マイカップでショコラショーを楽しんでみるのはどうだろう。
小澤千恵(淑徳大学池袋サテライトキャンパス・公開講座「ティー講座」担当)
(2011年02月14日)