東京歳時記リレーエッセイ
いけばなから広がる世界―モスクワの秋
九月初旬、いけばなインターナショナルモスクワ支部からの御招待を受け、ロシアの秋を味わうことが出来ました。
この季節を、ロシアでは、“女の夏”と呼びます。
日本では、小春日和にあたるのでしょうか?
やわらかな日差しとやさしい風が心地良く、厳しい冬の到来前の束の間の数日間。
高く真っ青の空、白い雲に、ななかまどの艶やかな赤い実が、美しく輝いていました。
モスクワの方々の熱いエネルギーを全身に受け止めての全力投球のデモンストレーションとワークショップ。
過分な“ブラボー”は、今までのいけばな人生へのご褒美?エールでしょうか?
ほんとうに、いけばな人生の冥利につきました。
日本では。暑さの厳しい夏でしたが、赤の広場、ヴァシリー寺院、ボリショイ観劇、エルミタージュ美術館、エカテリーナ宮殿と、ロシアの歴史と最高の芸術を満喫、堪能出来た秋になりました。
いけばな歴50年、モスクワの方々の飛びっきりの笑顔に囲まれた、いけばなから広がる世界に、心から感謝の日々です。
淑徳大学公開講座「笑顔になれるいけばな」
草月流 藤本 遙染
(2010年10月04日)