淑徳大学講座――新聞エッセイ「東京歳時記」
「春とタンポポ」
(阿部啓子・淑徳大学公開講座「ハーブのある暮らし」担当講師)
立春を過ぎ冷たい風の中でも春の気配が感じられるようになりました。寒々しく葉を落としていた木々の新芽が膨らみ始め、動物たちは冬眠から覚めます。春は「もの」みな動き始めるエネルギーあふれた季節と言えるでしょう。
やがて冬の間は葉を小さくしていたタンポポが春を告げます。ライオンの歯を想像させるそのギザギザな葉からダンディライオンとも言われ、空に向かって咲く花は元気の象徴です。黄色は身体を活性化させる力を持っているともいわれていますが、関西以西では白花タンポポが多いそうです。
見て楽しむだけではなく、葉や花、根は健胃やデトックスとして頼りがいのある春のハーブ(薬草)です。芽吹きの季節は私達の体内にも変化を与え、いろいろな病気が出やすい時期でもあります。タンポポの若芽をサラダや花と一緒にさっと茹でて水にさらし、十分にアクを抜いて、お浸しにして食べてみましょう。乾燥した根をよく炒って煮出したノンカフェインのタンポポコーヒーを飲んでみましょう。そのほろ苦さは体内環境を「冬」から「春」へと変えてくれることでしょう。
さあタンポポを探して春の風に吹かれてみませんか・・・
(2010年02月17日)