「寒い冬は八宝茶でおもてなし」
小澤千恵(淑徳大学公開講座「器」講師)
中国茶のひとつ、八宝茶をご存じだろうか。
様々な薬効のある乾物と、ひとつまみの茶葉を蓋碗に入れて飲む、具沢山のお茶で、極寒の時期に向いている一種の健康茶だ。
作り方は簡単。お盆の上に豆皿を並べ、色とりどりの八種の宝物を入れておく。クコの実、紅なつめ、白きくらげ、干しブドウ、菊花、さんざし、氷砂糖、龍井茶(緑茶)など。使う茶道具は蓋碗のみ。
ゲストが来たら蓋碗を渡して、好きなものを好きなだけ入れてもらいお湯を注ぐだけ。それぞれが自分のブレンドを作り、蓋碗の中の様相もさまざまで楽しい。氷砂糖が溶けるまで何煎でもお湯をさして飲むことができ、ゆっくりと暖かい部屋でくつろぐ時間にぴったりのお茶だ。
そして、このお茶にお勧めの蓋碗は、フランス、レイノー社のシ・キオン柄チャイニーズティーカップ。
美しい白地と自然な色彩の絵柄が料理を引き立て、多くのレストランに愛されるレイノーの器の中でも、東洋のデザインから影響を受け、山水画をモチーフにしている「シ・キオン」は、ティファニーのテーブルセッティングの本にも使われて、世界的にファンの多い絵柄だ。中国の黄河流域の地域の名前に由来するシ・キオンの蓋碗に、中国の健康茶、八宝茶を淹れて、今年の冬を乗り切ろう。
(2009年02月09日)