豊島新聞 東京歳時記原稿(九月分)
後久 博(まちづくりプランナー)
都会から季節感が消えたのは何時からのことであろうか。バスや電車に乗って、地下街をくぐり会社を往復する我々ビジネスマンにとって、よほど意識して空や緑の景観を観察する癖がないと「そろそろ春だなあ」と季節の節目を自分で感じとることができなくなっている。「テレビで朝顔市のニュースをみたよ。そろそろ夏だね」とニュースなどから季節の変わり目を知らされ、周囲の変わり目を感じさせる風物を探し確信しようとする自分に気づく。都会の真ん中で季節の移り変わりを感じさせるものは少ない。
大都会池袋の街中に、農業を持ち込んで〝潤いと安らぎの池袋〟のイメージ形成を図り、池袋の新たな魅力を作り出したいと考えている。その一つのイメージは、ヨーロッパ風青空市「いけぶくろマルシェ」の創出である。カラフルな果物や野菜が満載され、季節の鉢物や切花が軒を連ねる。会社でも社内に季節の花を飾り、潤いのある自然を仕事場に取り込みリフレッシュしてもらいたい。
ねらいは、都市と農業の連携による、食と農の距離の縮小にある。農業に近づき、食の重要性を知る良い機会ともなる
(2008年09月30日)