豊島新聞500字リレーエッセイ(1)
高橋 弘(淑徳大学国際コミュニケーション学部教授)
グランマ・モーゼスという名前を聞いたことがあるでしょうか。75歳頃から絵を描きはじめ、80歳で開いた個展がきっかけで世界中に知られるようになったおばあちゃんです。嬉しいことに彼女の作品は新宿の東郷清児美術館に常設されています。彼女は1860年にニューヨーク州に生まれ、農家の娘また農婦として働きずくめの人生でした。その絵にはまだ機械化されていない時代のアメリカの田舎の人々と生活が描かれています。
グランマ・モーゼスの住んでいた州にはアーミッシュと呼ばれる人たちも住んでいます。アーミッシュは今でも彼女の絵のなかの人々と同じ生活をしています。彼女はアーミッシュを描いているのではないかと思ったほどです。
アーミッシュはフランスやスイスから移民してきた人たちですが、宗教的理由で現代でも300年前の生活を続け、電気や車を使わず、その代わりランプや馬車を使う生活をしています。二酸化炭素やゴミを殆んど出さない生き方は、環境問題をかかえる私たちのモデルです。子どもたちは教室が一つしかない学校で学び、昔ながらの遊びをしていますが、とても明るく元気で利発です。講座では、アーミッシュの生き方を紹介したいと思います。
(2008年09月05日)