短歌の実作と秀歌鑑賞(3)
聖橋より
横田武志さん
マドンナは観ているだけで愉しけれ秋山佐和子短歌教室
ほんのりと萌黄色して化粧せる春来たるらし伊豆の山々
暮れなずむ聖橋より見下ろせば航跡ひいて曳き舟のゆく
君メタボ僕もメタボと猫は言い「友だちだね」と腹に乗りくる
“サクラサク”たった五文字のメールくる三年たっての満開なんだ
越後懐旧
山崎了司さん
鈍色の雲立ちこむる北越の小さき山は春を待つらむ
白波にあらがひ浮かぶさ小船(をふね)の彼方(をち)にけぶるは佐渡が島らし
車窓より見やる弥彦の山の端に彩り淡き秋の虹立つ
籾殻に五個づつ埋(うづ)めし鶏卵を朝売りにゆく遠き母の背
三十年(みそとせ)を小家に住みて思へらく広き郷家の伸びやかな日日
(2008年07月04日)