俳句実作と鑑賞講座(4)
レバノン
川口 勝真さん
アフリカの夏の夕日の巨大なり
秋天やゴビの彼方にローマ見え
レバノンの瓦礫果てなき無月かな
ガンジスに灰流しけり冬の朝
マンダレー戦士幾萬山眠る
走馬燈
川口 南子さん
思ひ出の束ほどけゆく走馬燈
秋螢誰かを呼んでみたくなる
武蔵野の畑色を濃く秋の雨
柚子風呂に夜がたつぷりありにけり
水鳥の一羽の波紋冬に入る
吊し雛
小松えい子さん
静恋ふ顔振(かうぶり)峠の居待月
それぞれの道ある一会花八ツ手
D51の終着駅や山眠る
無言館出て踏みゆく朴落葉
吊し雛風一条にゆらめけり
(2008年06月30日)