俳句実作と鑑賞講座(3)
淡き光
宇野 恭子さん
しやぼん玉多摩川越えて嫁ぎけり
レタス巻く淡き光を抱へては
雨後の空蟷螂貌を廻しをり
秋の雨古着の釦はづしゆく
武蔵野の空へ枯れゆく欅かな
冬の菊
枝 光 さん
秋蝶の庭に来てゐる日向ぼこ
恋しとも言へず遺され冬薔薇
難民の縋る嘆きの壁凍る
冬の菊衣づれのして風炉手前
うぐひすの笹鳴く枝の下明かり
冬の山
金丸 善信 さん
夕刊を仕舞ひ忘れし時雨かな
川風のうなり吸ひ込む冬の山
餅焼けば灰に字を書く父のこと
山笑ふ村に産着のはためきて
二分咲きの梅に乙女座見つけたり
(2008年06月27日)