2009年01月15日
| 受講レポート | 11:00 |
OU講座、その深遠なる世界のご紹介
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OU事務スタッフが、一般の方々と同じ様にOU会員として受講する機会が少ない事を、常々残念に思っています。 筆者は昨年9月に新規会員になり、『日本語習得を科学する』(10月1日~11月12日、全6回)と『日本語の変化を科学する』(11月19日~1月14日、全6回)、いずれもダニエル・ロング先生による言語学に関する2講座(南大沢キャンパス)を受講したのですが、この機会に講義で学んだ内容(今回はスペースの関係で、下記の講座の第1回と第2回)を、僭越ではありますが、ハイライトでご紹介します。 d(^_^) |
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『日本語習得を科学する』(大学院レベル講座) 【担当講師】 ダニエル・ロング先生(本学准教授、専門は社会言語学、言語接触論) 【講義で使用したテキスト】 S・ピンカー著『言語を生みだす本能(上・下)』(NHKブックス) 【参考図書】 J・ユール著『現代言語学20章』(大修館書店)、他 ============================================================ 第1回:子供はどうやって母語(第1言語)を獲得するのか? ============================================================ ◆全ての子供には、複雑な言語を習得する生得的な「言語本能」が備わっていて、母語を使う人々と接触する事で、母語を使う技能が自然発生的に発達する。親が子供に言語を教える、という見方は誤りで、母語習得の本質は子供自身の「言語本能」である。 ◆言語本能には、人類共通に「有数のスイッチ」があり、個々のスイッチのデフォルト値(初期値)の変更・非変更によって、それぞれの母語を獲得する。 ◆有数のスイッチは二者択一(オンかオフ)で、例えば、動詞(V)と目的語(O)の語順(VO→英語、OV→日本語)等がある。 (【筆者感想】有数のスイッチの話は、パソコンにWindows等の基本ソフト:OSをインストールする際の各種設定と似ていて面白いと思いました。また、我々日本人が「首都大学東京」や「新銀行東京」等の<単語の列>に違和感を持つのは、母語獲得時に語順のスイッチが日本語用に設定されてしまっているからでしょう。) ◆人間が言語を創造する過程の検証として、「ピジン(pidgin)」と「クレオール(creole)」がある。 ◆ピジンは、母語が異なる複数の話者の間で【下図参照】、単純化(簡略化)され、複雑な過程を経て「規範」を持つが、単文のみで、文法構造がほとんどない「不完全な言語」である。(例えば、Broken English など) 典型的なピジン発生状況 ![]() X語が「上層言語」、Y語とZ語は「基層言語」と言い、 X・Y・Zの力関係で「上層言語」が決まる。 ◆クレオールは、「ピジンを母語にした子供たち」が、ピジンを発展させ、複雑な文法構造を持ち、複文(連体修飾)もできる「新しい・完全な言語」で、「言語本能」による言語獲得の1つの現象である。 ◆ピジン化とクレオール化は、「ニカラグア手話」の事例がある様に、「手話」の中にも見られる現象である。 (【筆者感想】手話には、日本語手話、米国語手話等、言語別・国別にあり、手話を通訳する人がいるという事は、新たな発見でした。) ============================================================ 第2回:母語(第1言語)によって思考が制限されるのか? ============================================================ ◆言語が話し手の思考を規定する、というD・サピアとB・ウォーフの仮説『言語決定論』(1960年代以前は有力)は、実験研究の進歩や思考の仕組みに関する理論の進歩により、現在では衰退している。 ◆思考が言語に依存するなら、「新語」は誕生しない。 ◆人間が「読む・書く・話す・聞く」時には、単語のつながりとは別の「主旨」が存在する。我々が、話したり書いたりする時に、本心(主旨)を伝えきれない、と何か感じる事があるのは、「主旨」を的確に表現(言語化)できない場合であり、言語で思考していない表れである。 (【筆者感想】筆者も日々、主旨を伝えきれない事が多くて苦戦しています。今、このブログを記述していても、それを強く感じていますが、これは単なる実力不足です。) ◆B・ウォーフ説への反論の一つに、色名(体系)は言語が決定するのではなく、生理学的な知覚(色の識別)により決定される「基本色彩語彙」【下図参照】がある。 基本色彩語彙 ![]() (上図は、講義で頂いた色彩だけの資料をアレンジしてみました) ◆実験研究の進歩や思考理論の進歩により、人間は「心的言語」(仮定の思考言語)で考えている、という事が分かってきた。 ◆「心的言語」とは、概念に対する「シンボル(心的イメージ)」があり、対象や動作等に対応する「シンボルの配列」により形づくられて、人類共通で普遍的なものである。 ◆ある言語を知っているという事は、「心的言語」を<単語の列>に生成できて、逆に<単語の列>を「心的言語」に翻訳できる、という事である。 ◆人間の赤ん坊や人間以外の動物たちも、単純な形で「心的言語」を持っている、と考えられている。 (【筆者感想】近年、話題になっている「右脳思考」や「右脳イメージトレーニング」等は、実験研究の進歩や思考理論の進歩の成果で、「心的言語」の運用力を強化する効果があると思います。) |
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以上、筆者が受講したOU講座の深遠な一片をご紹介しました。 今回のスクリプトは、心的言語を駆使する猫「ニャン友キャン友@R公園」でした。(^o^)/~~ ![]() (OU講座を本年もよろしくお願いします) |





